
こんにちは。ゴルフの縁道、運営者のえにしです。
スピーダーブーストが気になるけれど、使い慣れたNXから替えると何が変わるのか。ダブルキックという言葉を聞いても、しなりが大きいならタイミングが難しそう、と感じる方もいますよね。
私が面白いと思うのは、ブーストが単に軽さや硬さで飛距離を狙ったシャフトではないところです。手元と先端の動きを使いながら、ねじれ方にも工夫を加えています。シャフトに仕事をしてほしい人には魅力がありますが、NXと同じ50Sを選べば近い振り心地になる、という製品ではありません。
この記事では、スピーダーブーストの特徴とNXとの違いを、しなり方、重量、振動数から整理します。2026年10月に追加された30g台と限定ブラック、リシャフト費用や試打で見たい点も含めて、自分に合う一本の考え方をお伝えします。
- ダブルキックとVTCが狙う振り心地と弾道
- NXとの違いと同じSでも変わる硬さ
- 30・40・50・60の重量帯を選ぶ考え方
- 限定ブラック、費用、試打で見るポイント
スピーダーブーストの特徴とNXとの違い
ブーストを理解する近道は、「どのくらいしなるか」と「どこがしなるか」を分けて見ることです。NXと共通する技術はありますが、シャフト全体で目指している感触は同じではありません。まずは特徴と数値をつなげて、違いがプレーにどう関わるのかを見ていきます。
ダブルキックは手元と先端が動く
スピーダーブーストの中心にあるのは、手元側と先端側の両方にしなりを持たせたダブルキック設計です。フジクラの表記では調子は「先/元」。シャフトの中間だけが大きく動くイメージとは異なり、切り返しとインパクトに向かう場面で、それぞれの部分の動きを生かす考え方です。
手元とはグリップに近い側、先端とはヘッドに近い側です。切り返しで手元側にしなりを感じられると、ヘッドの重さを受け止めながらクラブを下ろす感覚につながります。その後に先端側が戻る動きを使えれば、自分で強く押し続けなくてもヘッドの走りを感じられる可能性があります。
例えば、トップから急いで腕を下ろしてしまい、ヘッドがどこにあるか分からなくなる人。しなりの存在が分かることで、切り返しの間をつかみやすくなる場合があります。一方、シャフトの動きをあまり意識せず、体の回転と一緒に一体で振りたい人には、この大きな動きが気になることもあるでしょう。
「二段階加速」はメーカーが設計の狙いを表した言葉です。ゴルファーが途中で二回力を入れるという意味ではありません。むしろ、切り返しで一度ためて、途中からもう一度手を返そうとすると、普段のスイングとの違いを自分で増やしてしまいます。
私は、ダブルキックを使いこなすために特別な操作を覚える、と考えなくてよいと思っています。いつものテンポで振ったときにヘッドの位置がつかみやすくなるか。振り終わりまで流れが止まらないか。そこに良さが出るなら、この設計を生かせていると考えやすいですね。
なお、キックポイントは一点だけが折れ曲がる仕組みではありません。シャフトは全体で変形し、その中の曲がりやすさの配分が感触に関わります。先調子と元調子を単純に足せば万能になるわけではなく、二つの動きと自分のテンポが合うかが、このモデルの面白さでも難しさでもあります。
VTCでしなりとねじれを分ける
大きくしなると聞くと、インパクトでヘッドがぐらつかないのか心配になりますよね。そこで関わるのが、NXにも使われているVTC(ヴァリアブル・トルク・コア)です。部位ごとのねじれにくさを調整する技術で、ブーストでは曲げやすくした手元と先端のねじれを抑える設計に使われています。
ここで分けたいのは、シャフトが曲がる動きと、軸を中心にねじれる動きです。柔らかさという一語でまとめがちですが、この二つは同じではありません。しなりを感じやすくしながら、ヘッドの向きが不安定に感じられる動きは抑えたい。その両立がブーストの狙いです。
カタログの「トルク」はねじれやすさに関係する数値ですが、一つの値でシャフトのどの場所がどの程度動くかまでは読み取れません。例えばブースト50のトルクは5.6度。数字だけを見て、もっと小さい値のシャフトより方向性が悪い、と結論づけるのは早いです。
切り返しでは柔らかく感じても、ボールに当たる付近では頼りなさを感じにくい。メーカーが目指しているのは、そうした振り心地です。ただし、VTCが入っているから打点を外しても真っすぐ飛ぶ、フェースが必ずスクエアに戻る、という保証ではありません。
例えばヘッドのトウ側に当たった球と、フェース中央に当たった球では、同じシャフトでも球筋が変わります。ヘッド自体の特性や打ち方も関わるため、左右への曲がりをすべてトルクで説明しようとすると、原因を見失ってしまいます。
この技術で私が注目したいのは、「しなるシャフトは頼りないから苦手」と感じてきた人にも、比較する意味があることです。大きく動く感覚が好みに合うかと、当たる瞬間に落ち着いて感じるかを別々に考えると、従来の硬い・柔らかいだけの選び方から少し視野が広がります。
試す際は、素振りの柔らかさだけで判断を終えないことも大切です。ワッグルでよくしなっても、実際に球を打つと扱いやすい場合があります。反対に、感触が心地よくても着弾位置が広がるなら、その組み合わせが自分に適しているとは言い切れません。
30・40・50・60のスペック
通常版のスピーダーブーストは、2026年11月2日時点で30・40・50・60の四つの重量帯があります。発売当初の40〜60に、10月29日発売の30Rが加わりました。古い紹介記事には5スペックと書かれたものがありますが、現在の通常版は6スペックです。
| モデル | フレックス | 公表重量 | トルク |
|---|---|---|---|
| BOOST 30 | R | 38.5g | 8.2度 |
| BOOST 40 | R | 44.5g | 6.9度 |
| BOOST 40 | S | 45.5g | 6.9度 |
| BOOST 50 | R | 54.0g | 5.6度 |
| BOOST 50 | S | 55.0g | 5.6度 |
| BOOST 60 | S | 64.0g | 4.5度 |
上の数値はフジクラの製品スペックです。全モデルの製品長は46.0インチ、先端径は8.50mm、調子は先/元。製品長は組み立て前のシャフトの長さで、完成したドライバーが46インチになるという意味ではありません。
重量にも同じ注意が必要です。表の数字はシャフトの公表重量であり、ヘッド、グリップ、スリーブを含むクラブ総重量ではありません。今のドライバーと持ち比べるときは、シャフトの数字だけでなく完成クラブ全体で見たほうが、負担の違いを理解しやすいです。
例えば40Sと50Rは、フレックス表記だけならSのほうが硬そうに見えます。しかし重量は45.5gと54.0gで、重さの方向は逆です。この組み合わせは「軽いけれどS」「重いけれどR」の違いを試せるので、重さと硬さを一緒に増減させてきた人には興味深い比較になります。
30Rの追加も、単に女性用が増えたという理解ではもったいないですね。クラブ全体を軽くしたい人や、40g台でも振り続けるのが負担になる人に、もう一つ選択肢ができたと考えるほうが自然です。性別や年齢で区切らず、普段の力感で扱えるかを基準にできます。
一方、軽くなるほど必ず速く振れて、球がそろうとは限りません。軽いクラブでは振る感覚をつかみにくい人もいます。数字を見て一番軽いものへ飛びつくより、今の一本と近い重量帯を出発点に、負担とタイミングのどちらを変えたいのかを整理すると選びやすいです。
振動数で分かるNXとの硬さの差
NXからの買い替えで最も見落としたくないのが、フレックス表記と実際の硬さの違いです。フジクラはブーストとNX GOLDの振動数参考値を公表しています。振動数は固定したクラブを揺らした際の振動の速さを表すもので、単位はCPM。同じ条件なら硬さを比較する手掛かりになります。
| スペック | BOOST | NX GOLD |
|---|---|---|
| 40R | 194CPM | 232CPM |
| 40S | 208CPM | 252CPM |
| 50R | 208CPM | 237CPM |
| 50S | 223CPM | 257CPM |
| 60S | 232CPM | 261CPM |
測定条件はヘッド重量200g、クラブ長45インチ(60度法)、グリップ重量50gです。ヘッド形状や組み立て条件で値は前後するため、手元の完成クラブと条件をそろえずに数字だけを比べることはできません。
注目したいのは、ブースト60Sの232CPMが、NX GOLD40Rと同じ参考値になっていることです。これは二本が同じ振り心地だという意味ではありません。重量も剛性の配分も違います。それでも、ブーストのSを、NXのSと同じ硬さだと思って選ばないための、分かりやすい材料になります。
もう一つ面白いのが、ブースト40Sと50Rがともに208CPMである点です。硬さの参考値が近い状態で重量を変えられるので、軽さがほしいのか、クラブの重みを感じたいのかを考える入口になります。もちろん、トルクやしなりの感じ方まで一致するわけではありません。
私はこの表を、硬いほうが上級者向きだと判断するためには使いたくありません。今のシャフトで力が入りすぎる人には、大きなしなりがきっかけになる可能性があります。一方、今の硬さでタイミングが安定している人は、同じ記号のつもりで替えると変化が大きすぎるかもしれません。
振動数は全体の性格を一つの数字で表すものではなく、候補を理解する補助線です。基本の読み方はドライバーシャフトの硬さと振動数の考え方でも整理していますが、一般的なS・Rの目安より、この製品の参考値と実際の振り心地を優先したいですね。
NX WHITE・GOLDとの選び分け
「NXと何が違うのか」を考えるときは、NXを一種類のシャフトとして扱わないことが大切です。現在の比較候補として分かりやすいのは、先中調子のNX WHITEと、中調子のNX GOLD。どちらもブーストと同じメーカーですが、しなりの配分と狙う感触が異なります。
NX WHITEは先端側の曲げ剛性を下げ、中間から手元側を高めた設計です。つかまりと高さを狙いながら、振り回す途中の安定性やインパクトの再現性にも配慮しています。手元の大きなしなりより、先側が働く感覚を比較したい人には、ブーストとの差が分かりやすい候補です。
NX GOLDはNX GREENをベースに、手元側の剛性を抑えて切り返しの間をつくりやすくしたモデルです。カーボンの斜め方向の層を工夫するDHXも採用されています。ブーストも手元側の動きを使いますが、両者を「手元がしなるから同じ」と考えると、前節の硬さの差を見落とします。
| モデル | 設計を見るポイント | 比較したい感覚 |
|---|---|---|
| BOOST | 手元と先端の曲げやすさ | しなりを大きく感じて振る |
| NX WHITE | 先端と中間〜手元のメリハリ | 手元の支えと先側の働き |
| NX GOLD | 中調子と手元側のしなり | 切り返しからのつながり |
例えば、手元がしっかりしたシャフトを使っていて、切り返しがせわしく感じるならブーストとGOLDの比較が役立ちます。反対に、手元が動きすぎるのは苦手だけれど、つかまりを補いたいならWHITEを含めると違いをつかみやすいでしょう。これは設計から考えた試打の組み合わせで、球筋を保証するものではありません。
私の見方では、しなりの存在をはっきり感じたい人はブースト、手元の支えを残して先側の助けを比べたい人はWHITE、今の中調子からつながりを見直したい人はGOLDが入口になります。最新だから、技術名が多いからという順番では選びません。
初代BLUEやVIOLET、NX BLACKを含む全体の違いは、スピーダーNXの各色とWHITEの比較にまとめています。色を広く見比べたうえで、今回のブーストと対照的な一本を選ぶと、試打の数を増やしすぎずに好みが見えてきます。
飛距離とつかまりの評価を読む
ブーストの評判を読むと、しなり、つかまり、ヘッドの走りといった言葉がよく出てきます。フジクラの公式試打企画でも、参加者が切り返しの感覚や球のつかまりを評価しています。ここは製品の方向を理解する材料になりますが、掲載された飛距離が自分にもそのまま当てはまるわけではありません。
ゴルフサプリで実際に60Sを試した野村タケオ氏は、切り返しのしやすさと先側の動きを好意的に評価する一方、大きなしなりが合わない人もいると述べています。また、フェードを打つ自身の試打では、つかまりがよくても必ずドローになるわけではないという内容でした。
この違いは大切ですね。つかまりがよいシャフトは、誰でも左へ曲がる球になるという意味ではありません。自分のタイミングに合った結果、右へ抜ける量が減る人もいれば、いつもの球筋のまま芯で当たりやすくなる人もいます。
例えば、これまでは右へ逃げていた当たりが、狙った方向に近づいて前へ運べるようになったとします。そのとき必要なのは、最大飛距離だけでなく、普段のキャリーがどう変わったかを見ることです。地面を転がった総距離には、落下地点の硬さや傾斜も影響します。
反対に、ヘッドスピードだけが上がっても、打点が散ってボール初速が安定しなければ、コースでの助けは小さいかもしれません。シャフト交換の結果は、クラブを速く振れたかと、その速さをボールへ伝えられたかの両方で考えたいところです。
私は、ブーストの魅力を「何ヤード伸びる製品」としてではなく、今の力感でしなりを使える可能性がある製品と捉えています。軽く振ったつもりでも球がそろうなら価値がありますし、強く振らないと戻る感じがしないなら、そのスペックが合っていない可能性もあります。
ここで紹介した感触はメーカー企画の参加者や第三者の試打評価で、私自身の実測結果ではありません。評価を読む際は、使ったスペック、元の球筋、比較したクラブを一緒に見ると、「よく飛ぶ」という短い感想より自分に引き寄せて判断できます。
スピーダーブーストの選び方と注意点

特徴が分かったら、次は自分のクラブに組んだときの話です。ブーストはしなりの大きさが個性なので、普段のフレックスをそのまま当てはめるより、重量とタイミングを順に比べるほうが納得しやすいと思います。最新の展開と費用も含めて、選び方を整理します。
重量とフレックスを別々に選ぶ
最初に決めたいのは、今のクラブで変えたいことです。振り続けると重いのか、切り返しで硬く感じるのか、それとも軽すぎてクラブの位置がつかみにくいのか。この三つでは、試したい重量帯が変わります。
軽くしたいのか、柔らかくしたいのかを分けると、ブーストの選択肢を使いやすくなります。今の50g台が重くないなら、最初から40g台へ落とす必要はありません。近い重量の50R・50Sでしなり方を比べれば、重さの変化に惑わされずに感触をつかめます。
例えば、50g台の硬いシャフトで力が入りがちな人なら、重量を大きく減らさずにしなりを増やす組み合わせが候補になります。逆に、ラウンド後半の振り切りにくさが悩みなら、40g台や30g台も含めて、完成クラブの負担を比べる意味があります。
ブースト40Sと50Rは、メーカーの振動数参考値が同じでも約8.5gの公表重量差があります。これは、似た硬さの数字で軽さと重みの違いを見る際に便利です。ただし、同じ振動数だから挙動も同じと考えず、切り返しでどちらが自然に下りてくるかを見たいですね。
60Sは、しなりを感じつつ重さも残したい人の比較候補です。しかし「ブーストは柔らかいから全員一段重くする」という選び方は勧めにくいです。重さに耐えようとして振りが小さくなったり、後半に打点がばらついたりすれば、しなりの良さ以前に扱いづらくなってしまいます。
ヘッドスピードも参考にはなりますが、このモデルに一般的な「この速度ならS」という表をそのまま当てはめるのは難しいです。同じ速度でも、切り返しで一気に負荷をかける人と、なだらかに加速する人では感じ方が変わります。メーカーが示していない適正速度の境界を、ここで固定することはできません。
私なら最初の比較は二本か三本に絞ります。今と近い重さを一つ、悩みに合わせて軽いか重いものを一つ。重量が定まってから、用意されているR・Sを比べます。多くのスペックを続けて打って感覚が分からなくなるより、何を変えた結果なのかが見えやすい方法です。
スライスに合う人と合わない人
スライスを減らしたくてブーストを検討する人は多いと思います。つかまりを狙う設計は魅力ですが、右に曲がる理由は一つではありません。インパクトのフェースの向き、ヘッドの進む方向、打点などが組み合わさって球筋が決まるので、シャフトだけで全原因を解消できるわけではないです。
相性を見たいのは、今のシャフトではしなりを感じにくく、力んだときにヘッドが戻る感覚をつかみにくい人です。ブーストでテンポが取りやすくなり、普段の振り方で当たりがそろえば、右へのミスを減らす助けになる可能性があります。
一方、ヘッドが大きく外から入る動きや、フェースが開く構え方などが強く影響している場合、シャフト交換だけを答えにすると遠回りになることがあります。原因を一つに決めつける必要はありませんが、クラブを替えても同じ打点・同じ球筋が続くなら、スイング側も一緒に見たいですね。
また、しなりが大きいほどつかまる、と一直線には考えられません。戻る動きを待とうとして体の回転を止めたり、遅れを取り戻そうと手を急いで返したりすると、かえって左右の幅が広がることもあります。自分が頑張ってタイミングを修正し続けないと打てないなら、扱いやすい組み合わせとは言いにくいです。
左へのミスを嫌う人も、モデル名だけで除外する必要はありません。ただ、今のシャフトより大きく動くことで左への強い球が増えるなら、飛距離が伸びた一球よりも、そのミスがコースで許容できるかを優先したいところです。
例えば右が広く左がOBのホールなら、最大飛距離より左へ外れる球の出方が重要になります。普段のフェードが少し弱くなって狙いやすいのか、右も左も出るようになったのか。この二つは、平均の着弾位置が似ていても使いやすさが違います。
ブーストが合うかを考えるとき、私は球筋の名前より「力感を変えずに狙える範囲が狭くなるか」を重視したいです。ドローが打てなくても問題ありません。いつもの球で困っているミスが小さくなるなら、そのほうがスコアにつながる場面は多いと思います。
ヘッドとの相性と試打の進め方
シャフトが同じでも、組み合わせるヘッドと長さが変わると、振り心地や球筋は変わります。低スピン型のヘッドだから必ずブーストが合う、大きなヘッドなら何でも使いやすい、と一括りにはできません。現在のヘッドで何が不足しているかを出発点にすると、試打の意味がはっきりします。
例えば球が低く、キャリーが伸びにくい人なら、ブーストを組んで高さを出しやすくなるかが見どころです。反対に、すでに十分な高さがあり、向かい風で浮き上がる球に困っている人は、上がりやすさだけを長所として評価しないほうがよいでしょう。
試す順番は、今のクラブ、候補、もう一度今のクラブがおすすめです。できるだけ同じヘッド、ロフト設定、近い完成長、同じ種類のボールで比較します。候補だけ打ち続けると、そのクラブに合わせた振り方へ変わっていても気づきにくくなります。
- 普段の力感で数球ずつ打ち、切り返しの自然さを見る
- キャリー、ボール初速、左右の幅、打点を一緒に見る
- 少し強く振ったときと力を抜いたときの変化を見る
- 打ち直しを重ねた後も、狙う方向を変えて振れるかを見る
この手順は、良い数字を一つ探すためではありません。例えばキャリーが伸びても、普段出なかった左への大きなミスが混ざるなら、使うホールによっては負担が増えます。逆に最高値が同じでも、低い当たりの距離落ちが小さくなれば、実戦では価値があります。
スピン量にも全員共通の正解を置かないほうが判断しやすいです。打ち出し角やボール初速、打点との組み合わせで必要な量は変わります。数字が少ないという理由だけで良しとせず、空中で必要な距離を運べているかを見たいですね。
また、試打クラブが今のものより長い場合、速く振れた変化をすべてシャフト性能に帰属させないことも大切です。手元の感覚と計測結果が食い違うなら、工房やフィッターに完成長、総重量、ヘッド重量をそろえて相談すると、判断材料を整理しやすくなります。
短い時間で一本に決めるより、普段のスイングを保てる組み合わせを残す。その考え方なら、ブーストの大きなしなりを楽しみながら、コースで使うときの不安も減らしていけると思います。
限定ブラックと通常版の違い
2026年10月29日には、SPEEDER BOOST BLACKが数量限定で発売されました。通常版の白地に青・オレンジを使ったデザインとは印象が変わるので、落ち着いた見た目で合わせたい人には気になる選択肢ですね。
ここで混同しやすいのが、SPEEDER NX BLACKです。名前にBLACKが付いていても、NX BLACKとBOOST BLACKは別のシャフトです。NX BLACKは先中調子、BOOST BLACKは先/元のダブルキック系。中古品やスリーブ付き商品を探すときも、ブランド名だけでなくモデル名まで見たいところです。
フジクラが2026年10月2日に公表した限定ブラックの資料では、30R、40R、40S、50R、50S、60Sの6スペックが示されています。通常版との公表重量の比較は次のとおりです。
| スペック | 通常版 | BOOST BLACK |
|---|---|---|
| 30R | 38.5g | 37.5g |
| 40R | 44.5g | 43.5g |
| 40S | 45.5g | 44.5g |
| 50R | 54.0g | 53.0g |
| 50S | 55.0g | 54.0g |
| 60S | 64.0g | 63.0g |
スペック表ではブラックがそれぞれ1.0g軽く、対応するモデルのトルク、調子、製品長、先端径・手元径は同じです。ただし、この表だけで振り心地も実測弾道も完全に同じと断言はできません。公表値で確認できる違いと、実際に組んで分かる違いは分けておきたいですね。
価格は税別45,000円、税込49,500円で通常版と同額です。限定カラーだから高性能、あるいは1g軽いから飛ぶと考える根拠にはなりません。すでに通常版が合っている人にとっては、主に見た目や入手性を含めて選ぶ話になると思います。
私は、カラーより先に合う重量帯を決めたいです。欲しい色の在庫があるという理由で、本来より重いスペックへ妥協すると、せっかく相性を見た意味が薄れます。限定版の本数や店頭在庫はこの表からは分からないため、購入時点の取り扱い状況を確かめる必要があります。
価格とリシャフト費用の考え方
通常版スピーダーブーストのメーカー希望小売価格は、税込49,500円です。通常版の当初発売日は2026年3月5日で、30Rは同年10月29日に追加されています。価格を比べるときは、シャフト単体の価格と完成状態で使える価格を分けることが出発点です。
メーカー表示の49,500円には組み立て費とグリップ代が含まれていません。販売店の商品にはスリーブやグリップ、工賃がセットのものもあるため、表示価格だけでは同じ条件の比較にならない場合があります。税込かどうか、送料や交換作業が別かも含めて総額を見たいですね。
見積もりでは、シャフト、スリーブ、グリップ、組み立て、必要なら旧シャフトの抜き取りなど、何が含まれているかを分けて確認すると分かりやすいです。実際の販売価格や作業費は店によって変わるため、ここで一律の完成価格を置くことはできません。
スリーブ付きで買う場合は、ヘッドのメーカー名が一致するだけで安心しないことも大切です。対応するヘッドのモデル、装着後の長さ、グリップの種類を注文条件と照らし合わせます。「シャフトの長さ」と「ヘッドを装着したクラブ長」のどちらが商品欄に書かれているかで、受け取り方が変わります。
中古品は価格を抑えられる可能性がありますが、先端の加工歴、延長の有無、取り付けられたスリーブ、傷や状態が不明だと、新品の試打クラブと同じ感触になるか判断しにくくなります。特に、試打して決めた長さより短いものを後から探す場合は、同じ50Sでも別の組み合わせになることを意識したいです。
ブーストを買うかNXを選ぶかで迷うなら、価格差だけより、今のヘッドを生かせるかも含めて考えたいところです。ヘッドにも不満があるなら、シャフトだけを先に替えると、後でヘッド変更に合わせた再調整が必要になることがあります。
仕様や希望小売価格はフジクラの公式製品情報、実売価格と注文条件は購入先の最新案内を確認してください。組み合わせに迷う場合は、使っているクラブを工房やフィッターへ持参し、試打と同じ完成長・重量に近づけられるかを相談すると、費用と仕上がりを一度に把握しやすくなります。
スピーダーブーストの選び方まとめ
スピーダーブーストは、手元と先端の大きなしなりを生かして振りたい人にとって、試す意味のある個性的なシャフトです。VTCによってねじれ方にも配慮しながら、シャフトが動く感覚をはっきり出そうとしているところに魅力があります。
私が特に面白いと感じるのは、「重さは残したいけれど、硬さで頑張りたくない」という選び方ができる点です。軽くすればすべて解決するわけではない人にも、しなりを増やす別の道を示してくれます。反対に、クラブ全体の負担を下げたい人には30Rや40g台という入口もあります。
NXとの比較では、同じ50S・60Sという名前より、設計とメーカー参考値の違いを重視したいです。ブーストはNX GOLDと同じ記号でも振動数が大きく異なります。普段のスペックをそのまま移す買い方より、今の重さを基準にして、しなりの変化を試すほうが納得しやすいでしょう。
手元の大きな動きに違和感があるならNX WHITE、今の中調子の感覚から自然なつながりを探したいならNX GOLDも比較相手になります。ブーストが合わなかったとしても、しなりを感じること自体が苦手なのか、重量や先側の動きが合わなかったのかが分かれば、次の候補を絞れます。
弱点は、分かりやすいしなりが、そのまま万人の扱いやすさにはならないところです。タイミングを合わせようとして手を使う量が増えたり、普段出ない左右のミスが増えたりするなら、飛んだ一球だけで決めないほうがよいと思います。
選ぶ基準は、普段の力感で振れて、困っているミスが小さくなるかです。最大飛距離、軽さ、色、Sという記号のどれか一つで結論を出すより、日頃のショットとつながる変化を見るほうが、コースで使う一本として選びやすくなります。
今のシャフトで狙いやすく、不満も小さいなら、急いで買い替える必要はありません。ただ、硬さに合わせて力んでいる感覚や、もう少しヘッドの動きを感じたい気持ちがあるなら、ブーストは比較してみる価値があります。自分のスイングを無理に変えずに気持ちよく振れるか。その視点で見ると、このシャフトの良さがつかみやすいと思います。