
今回ご紹介する「本間ゴルフ TW777 360Ti ミニドライバー」は、昨今のミニドライバーブームに対して、ついに本間ゴルフが本気で回答を出してきた、という印象を受ける一本です。
多くのメーカーがカーボン複合素材を多用する中で、あえて「フルチタン」という選択肢を提示してきた点に、酒田工場の職人魂のようなものを感じずにはいられません。 TW777シリーズは、ドライバー(460cc)の「TW777」や「TW777 MAX」がラインナップされていますが、この360Tiだけは異質な存在感を放っています。単にヘッドを小さくしただけではなく、設計思想そのものが「ドライバーの飛距離とフェアウェイウッドの操作性の融合」というよりも、「ドライバーが苦手な人のための、究極のティーショット用ギア」として研ぎ澄まされているように感じます。それでは、カタログスペックの奥にある「現場で使える理由」を深掘りしていきましょう。
発売日や価格に関する基本情報とテクノロジー
まず、この「TW777 360Ti ミニドライバー」の基本的な立ち位置と市場での評価について整理しておきましょう。発売は2025年モデルとして投入されており、価格は税込で85,800円前後が定価となっています。昨今の高騰するゴルフクラブ市場において、決して安価とは言えませんが、フルチタン鍛造製法の手間暇を考えると、むしろ納得感のあるプライス設定と言えるかもしれません。10万円を超えるのが当たり前になりつつある中で、この価格帯は戦略的です。
最大の特徴は、製品名にもある通り「360Ti」、つまり360ccのヘッド体積とチタン素材(Ti811ボディ+SJ221チタンフェース)の組み合わせです。競合他社のミニドライバーがクラウンにカーボンを採用して低重心化を図る中、TW777 360Tiは「シリーズ唯一のフルチタン構造」を採用しました。これには明確な意図があります。カーボン特有の「こもった打音」を排除し、金属特有の澄んだ高音と、手に伝わるソリッドな打感を実現するためです。 また、テクノロジー面では、ソールに配置された3つのウェイトポート(フロント、バック、トウ側)が目を引きます。これにより、単なる「優しいクラブ」で終わらせず、ユーザーのスイングタイプに合わせて「つかまり」や「弾道の高さ」を微調整できる拡張性を持たせています。このあたりは、さすが「ツアーワールド」の名を冠するだけあり、アスリートゴルファーの要望にも応えられる設計になっていますね。
えにしの一言メモ 「ミニドライバー」というカテゴリですが、本間ゴルフはこのクラブをあくまで「ドライバーの一種」として扱っている節があります。フェアウェイウッドの延長線上ではなく、ドライバーの不満を解消するための「短いドライバー」という解釈がしっくりきますね。
360ccの小型ヘッドが持つ操作性と構えやすさ
「360cc」というサイズ感について、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?現代の460cc大型ヘッドに慣れきった目で見ると、最初は驚くほど小さく感じるかもしれません。しかし、実際に構えてみると、その凝縮感のある「塊(かたまり)」のようなフォルムに、不思議な安心感を覚えるはずです。 この360ccという絶妙なサイズは、かつてのパーシモンやメタルドライバー時代を知るベテランゴルファーにとっては「懐かしく、構えやすい」大きさであり、若いゴルファーにとっては「ヘッドのトウ・ヒールが余っていない分、芯に当てやすそう」という集中力を生むサイズです。大型ヘッド特有の「どこを向いているか分からない」というぼやけた感覚がなく、フェース面がターゲットに対してビシッと向く感覚は、小型ヘッドならではの特権と言えるでしょう。
操作性に関しても、460ccの大型ヘッドのように「一度動き出したら止まらない」という慣性モーメントの重さがありません。スイング中にフェースの向きを自分でコントロールできる感覚が残されているため、意図的にドローをかけたり、フェードで逃がしたりといったインテンショナルなショットも打ちやすくなっています。特に、左へのミス(チーピン)を嫌う上級者にとって、ヘッドが勝手にターンしすぎないこの操作性は、狭いホールでの大きな武器になるはずです。
短尺43.5インチが実現するミート率の向上
私がこのクラブで最も注目しているスペックが、この「43.5インチ」というシャフト長です。一般的なドライバーが45.5インチや45.75インチであるのに対し、約2インチ(約5センチ)も短い設定になっています。たかが5センチと思うかもしれませんが、ゴルフにおいてこの差は劇的です。 長いクラブは遠心力が働きヘッドスピードが上がりますが、その分、芯に当てる(ミートする)難易度は指数関数的に上がります。
一方で、43.5インチという長さは、一般的な3番ウッド(スプーン)に近い長さです。つまり、3番ウッドを打つような感覚でスイングできるため、スイングプレーンが安定しやすく、結果として「ミート率」が大幅に向上します。 飛距離の方程式は「ボール初速 × 打ち出し角 × スピン量」ですが、ボール初速を最大化するために最も重要なのがミート率です。いくらヘッドスピードが速くても、芯を外せば飛距離は落ちます。TW777 360Tiは、短尺化によってヘッドスピードが多少落ちたとしても、芯で捉える確率を上げることで、結果的に「平均飛距離」を伸ばすというロジックで設計されています。「一発の飛び」よりも「14回中14回、フェアウェイに置ける飛び」を重視するゴルファーにとって、この43.5インチは正義そのものです。
短尺ドライバーのメリット整理
- 体とボールの距離が近くなり、スイングの再現性が高まる。
- 振り遅れが減り、インパクトでフェースがスクエアに戻りやすい。
- ミート率が向上するため、結果として平均飛距離が伸びる。
- 傾斜地や狭いホールでのプレッシャーが軽減される。
純正シャフトVIZARDの種類と選び方
本間ゴルフのクラブを語る上で欠かせないのが、自社一貫開発の純正シャフト「VIZARD(ヴィザード)」の存在です。多くのメーカーがシャフトメーカーのOEM品を採用する中、本間ゴルフはヘッドの特性に100%マッチするシャフトを自社で設計・製造しています。TW777 360Tiには、主に以下の3種類のシャフトラインナップが用意されています。
まず、基準となるのが「VIZARD for TW777」です。これは全体のバランスが取れた中調子系のシャフトで、癖がなく、多くのゴルファーがタイミングを取りやすい設計になっています。先端の剛性を少し高めることで、360ccヘッドの操作性を活かしつつ、当たり負けしない強さを持たせています。
次に、しっかり叩きたいゴルファー向けの「VIZARD BLUE(ブルー)」。これは中元調子系で、手元側に適度な粘り感があります。切り返しでタメを作りやすく、左へのミスを怖がらずに振っていける仕様です。アスリートやハードヒッターがこのミニドライバーを使うなら、迷わずこのBLUEを試すべきでしょう。
そして、ボールを上げたい、つかまえたい人向けの「VIZARD RED(レッド)」。こちらは先中調子系で、シャフトが仕事をしてヘッドを走らせてくれます。11.5度というロフトでも球が上がりにくいと感じる方や、スライスを軽減したい方には、このREDが助けになるはずです。TW777 360Tiに関しては、短い分だけシャフトが硬く感じやすい傾向があります。普段60g台を使っている人でも、50g台のSなどを視野に入れてフィッティングすることをおすすめします。
独自の調角機能でロフトやライ角を調整する
本間ゴルフが誇る唯一無二のテクノロジー、それが「NON-ROTATING SYSTEM(ノン・ローテーティング・システム)」です。一般的なカチャカチャ(弾道調整機能)は、シャフトを回転させてロフトやライ角を変更するため、調整するたびにバックラインの位置が変わったり、シャフトのロゴが裏にいったり表にきたりしてしまいます。これは、シャフトのスパイン(背骨)管理にこだわるゴルファーにとっては大きなストレスでした。
しかし、本間のシステムは、シャフトを回転させることなく、ヘッド側のリングパーツを動かすことで角度調整を行います。これにより、シャフトの「一番良い向き(スパイン調整された向き)」を常に6時の方向(真下)に固定したまま、ロフト角(±1度)、ライ角(アップライト方向へ調整)、フェースアングル(クローズ・オープン)を無段階で調整できるのです。 TW777 360Tiにおいてもこの機能は健在です。例えば、「今日は風が強いからロフトを立てて低い球を打ちたい」といった場合でも、シャフトのフィーリングを変えることなく調整が可能です。また、ミニドライバーは地面から打つ(直ドラ)シーンも想定されるため、ライ角を調整して接地感を自分好みにカスタマイズできる点も、上級者にはたまらない機能と言えるでしょう。
本間ゴルフ TW777 360Ti ミニドライバーの試打評価
ここからは、実際に私が練習場とコースで「TW777 360Ti」を打ち込んだ生の感想をお届けします。「スペックが良いのは分かったけど、実際どうなの?」という疑問に対して、忖度なしの「えにし目線」でレビューしていきます。 結論から申し上げますと、このクラブは「ドライバーの恐怖心を消し去る精神安定剤」でありながら、同時に「操作する喜びを思い出させてくれる大人の玩具」でもありました。大型ヘッド特有の「オートマチック感」に飽き足らない方や、ティーショットでのOB病に悩む方には、特効薬になる可能性を秘めています。
実際の試打で計測した飛距離性能と初速データ
まずは気になる飛距離性能についてです。弾道測定器を使用してデータを計測しましたが、驚くべき結果が出ました。私のヘッドスピード(約42m/s)で打った際、キャリーで230ヤード、ランを含めて245ヤード前後をコンスタントに記録しました。これは、普段私が使用している45.5インチのドライバー(平均250ヤード)と比べても、わずか5ヤード程度の差しかありませんでした。 「短尺でヘッドも小さいのに、なぜ飛ぶのか?」 その理由は、初速の安定感とスピン量の最適化にあります。360ccのヘッドは重心深度が浅くなりやすいため、低スピンの強弾道が出やすい傾向にあります。TW777 360Tiも例外ではなく、バックスピン量は2200回転〜2400回転という理想的な数値に収まりやすく、「吹け上がって飛ばない」という現象がほとんど起きません。 また、SJ221チタンフェースの反発性能も高く、芯を食った時の初速は460ccドライバーと遜色ありません。むしろ、短い分だけ思い切って振り抜けるため、ヘッドスピードが落ちるどころか、少し上がっているデータさえ見受けられました。「ミニドライバー=飛ばない安全策」という認識は、このTW777 360Tiには当てはまらないと断言できます。
曲がらない弾道とミスヒットに対する許容性
「小さいヘッドは難しい」という先入観をお持ちの方も多いでしょう。確かに、スイートスポットの広さ(MOI)という数値だけで見れば、460ccの大型ヘッドには敵いません。しかし、実際に打ってみると、その「曲がらなさ」に驚かされます。 TW777 360Tiの曲がらない理由は、「サイドスピンの少なさ」にあります。重心距離が短いため、フェースの開閉がスムーズに行えますが、過度な重心深度がないため、インパクトでヘッドのお尻が落ちてフェースが開く動きが抑制されます。
結果として、ボールに対してスクエアにコンタクトしやすく、極端なスライスやフックが出にくいのです。 また、ミスヒットに対する許容性も、360ccにしては十分に確保されています。トウ側やヒール側に外した時でも、当たり負けしてヘッドがブレる感覚が少なく、想定内の幅に収まってくれます。何より、「短尺であること」自体が最大の許容性です。物理的に芯に当たりやすいのですから、ヘッドのMOIに頼る必要がないとも言えます。左右のOBゾーンが狭いホールで、これほど頼りになる相棒はいません。
3Wの代わりとしてバッグに入れるメリット
多くのゴルファーが悩む「3番ウッド(スプーン)が打てない問題」。TW777 360Tiは、この問題を解決する代替案としても非常に優秀です。ロフト11.5度(可変で調整可能)というスペックは、一般的な3W(15度)よりも立っていますが、ヘッド体積が大きいため、ティーアップした時の安心感は段違いです。 もしあなたが、「3Wはティーショットでしか使わない」というタイプであれば、迷わず3Wを抜いてこのミニドライバーを入れることをおすすめします。3Wよりもフェイス面が大きく、飛距離も出るため、狭いホールのティーショット用としての機能は完全に上位互換となります。
ただし、「フェアウェイ(芝の上)から打てるか?」という点については、議論が分かれるところです。360ccという大きさは、地面にあるボールを打つには少し抵抗感があります。ソールの抜けは悪くありませんが、やはりティーアップしてこそ真価を発揮するクラブです。セッティングとしては、「ドライバー、TW777 360Ti、5番ウッド…」という流れにするのが、多くのアマチュアにとってスコアメイクの近道になるでしょう。
難しい点や球が上がらないなどの注意点
良いことばかりをお伝えしてきましたが、当然ながら注意点やデメリットも存在します。まず、ロフト11.5度という設定は、ヘッドスピードが40m/s未満の方にとっては、十分な高さが出せない可能性があります。最近の大型ドライバーは低重心で勝手に球が上がりますが、TW777 360Tiはある程度自分で球を上げていくスイング、あるいは相応のヘッドスピードが求められます。 球が上がりきらないと、キャリー不足で飛距離をロスしてしまいます。その場合は、カチャカチャ機能でロフトを最大まで寝かせるか、シャフトを先中調子の「VIZARD RED」にするなどの対策が必要です。 また、視覚的なプレッシャーも無視できません。練習場では良くても、コースの朝イチのティーショットで、360ccのヘッドが「豆粒」のように小さく見えてしまい、不安で体が止まってしまう…という心理的なハードルはあります。こればかりは「慣れ」の問題ですが、大型ヘッドの安心感に依存している方は、移行期間が必要かもしれません。
購入前のチェックリスト
- ドライバーのヘッドスピードが40m/s以上あるか?(推奨)
- 球が低すぎてドロップするミスが多い人には不向きな可能性。
- 地面から打つ「直ドラ」をメイン用途にするなら、もっと小ぶりな3Wの方が簡単かも。
心地よい打感と打音に関するフィーリング評価
スペックやデータ以上に、私がこのクラブで最も感動したのが「打感」と「打音」です。ここ最近のドライバーはカーボンを多用しているため、どうしても「ボコッ」「パスッ」という乾いた、あるいは少しこもった音が主流でした。しかし、TW777 360Tiはフルチタンボディです。 芯で捉えた瞬間、「バシッ!」という重厚でありながら、余韻のある金属音が響き渡ります。手に伝わる感触も、フェースに乗っている時間が長く感じられるような「吸い付く打感」です。これぞ本間ゴルフ、これぞ酒田工場、と膝を打ちたくなるような、官能的なフィーリングがあります。 この「打った感触」が良いと、練習が楽しくなりますし、コースでもリズムが良くなります。「音も性能の一部」と考えるこだわり派のゴルファーにとって、このフルチタンの打感は、他社のカーボン系ミニドライバーにはない、代えがたい魅力となるでしょう。
本間ゴルフ TW777 360Ti ミニドライバーは買いの1本か
総評として、本間ゴルフ TW777 360Ti ミニドライバーは、次のようなゴルファーにとって「間違いなく買い」の1本です。
- 460ccの大型ドライバーがどうしても構えにくい、振り遅れると感じている人。
- ドライバーの飛距離よりも、OBを打たない安定性を最優先したい人。
- 3番ウッドが苦手で、バッグの中で飾り物になっている人。
- カーボン特有の打感が好きになれず、チタンのしっかりした打感を求めている人。
単なる「隙間商品」ではなく、ドライバーの新しい在り方を提案する意欲作です。特に、スコアが80台、90台で停滞している方にとって、ティーショットの景色を一変させるゲームチェンジャーになる可能性があります。もし店頭で見かける機会があれば、ぜひ一度、その美しい顔と極上の打感を体験してみてください。あなたのゴルフ観が、少しだけ「原点回帰」するかもしれませんよ。
| 項目 | TW777 360Ti スペック詳細 |
|---|---|
| ヘッド体積 | 360cc |
| ロフト角 | 11.5度(調整可能) |
| ライ角 | 57.5度(調整可能) |
| 長さ | 43.5インチ |
| ヘッド素材 | Ti811ボディ + SJ221チタンフェース(フルチタン) |
| 価格 | 85,800円(税込) |
※スペックや価格は記事執筆時点のものです。最新情報は公式サイトをご確認ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。この記事が、あなたの「運命の1本」探しのヒントになれば幸いです。